お知らせ

KYOTO SCOPEからのお知らせです。

2023.05.26第14回オンライン・ケース勉強会を開催しました

2023年4月30日(日)にKYOTO SCOPE主催のオンライン・ケース勉強会を開催しました。

今回のテーマは「歪んだ医療観」です。モデルケース「医療に不信感を抱く、障がい児をもつ母親」をもとに、小児科医、訪問看護師、医療ソーシャルワーカー、保護者に小児医療のかかり方を学んでもらう活動や地域活動を行っている支援者の4名の皆様にお話をお聞きしました。

母親が医療に不信感を抱いたり、外部と接触しない理由はさまざまで、本音を話してもらうことは容易ではありません。行政の窓口で怒られた経験や、試行錯誤の結果の育児法を医療機関で否定されたことがトラウマになる例が挙げられました。そうした中でもわずかな接点を見逃さずに声掛けをしたり、さりげなく話を聞いたりして信頼関係を築きながら必要な医療につなげていく実例を紹介していただきました。一人ではなく複数のスタッフがそういった目配りや行動をし、連携することで保護者が話しやすい環境になっていくこともわかりました。

来院拒否や急なキャンセルが重なる場合には、ヘルパーなどの社会資源やオンライン診療などを提案してみることで保護者の負担が減るケースもあります。また受診後の家庭での過ごし方や今後の見通しを伝えることで、不安が軽くなることもあります。保護者が本当は何に困っているのかを支援者が目線を変えて柔軟に考えてみることも学びました。

医療機関内外を問わず、多職種が情報を共有し、今後の方向性を多方面から検討できれば、より良い解決法を見つけやすくなります。要保護児童対策地域協議会や子ども家庭センターへの情報提供に関しては、個人情報の取り扱いや保護者の同意の有無などの知識を深める必要性も感じました。

登壇者全員のお話に共通していたのは、「否定せず、何度でもじっくりと話を聞くこと」「気軽に相談できる場所を増やすこと、その体制をつくっていくこと」です。不安や不信を持つ保護者に寄り添う支援者一人一人の取り組みは、日常的に支援者同士がつながり合い、信頼関係を培うことによって、よりいっそう生きてくるのではないでしょうか。

KYOTO SCOPEは京都府下のソーシャルワークを支援するプラットフォームです。今後も定期的な勉強会の開催を予定しております。勉強会の内容を受け、モデルケースもブラッシュアップしてまいります。

またメールマガジン(ページ下部からご登録いただけます)にて、勉強会のご案内やイベントなどのお知らせをしております。6月15日には「ACEサバイバー ー子ども期の逆境に苦しむ人々」の著者、三谷はるよ氏をお迎えしてオンライン読書会を開催いたします。

https://acesurvivors.peatix.com/view

こちらもぜひご参加ください。

 

文責:中江奈津子

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