KYOTO SCOPE

社会的困難女性を支援する人のための
ソーシャルワーク・プラットフォーム

お知らせ

KYOTO SCOPEからのお知らせです。

2022.11.09第13回オンライン・ケース勉強会を開催しました

2022年11月5日(土)にKYOTO SCOPE主催のオンライン・ケース勉強会を開催しました。

今回のテーマは「NICU児」「望まない妊娠」です。モデルケース「飛び込み出産NICU児への面会頻度が少ない初産母親」をもとに、実際に飛び込み出産の対応のご経験がある助産師と医療ソーシャルワーカー、退院後の受入れ先となる乳児院の臨床心理士と保育士の皆様にお話をお聞きしました。今回は飛び込み出産をどう防ぐかという視点ではなく、準備がないまま母親になった方に対してどのようなサポートができるかに焦点を当てて話し合いました。

初来院での出産のため母親と医療者の信頼関係も築かれていない中、スタッフは赤ちゃんのケアに追われ、どうしても母親への対応が不十分になりがちです。赤ちゃんへの関心を持てないように見える母親にもそれぞれの事情や思いがあり、医療者は母親にも目を向けてその本心を知ろうと努力すること、想像していなかった現状に否定的な気持ちを抱いてもいいのだと示すことが大切だとのことでした。出産直後のおめでとうの声かけがほしかったなどはっとさせられる事例もお聞きしました。

退院後は病院の情報を地域に共有し、つないでいくことが大切です。親族など支援者がいる場合は自宅へ、支援が得られない場合は乳児院や母子寮に入ることになります。親族であっても現実の生活の中で母親と赤ちゃんをしっかりサポートしてくれるのかどうかの判断や、彼らの協力を母親が本当に望んでいるかの見極めなど、丁寧に関わっていく必要があるとのことです。

乳児院では飛び込み出産の母親が持つことの多い難しい背景をふまえて、まず本人の思いを受け入れ、見守りながら、じっくりと信頼関係を築いた上で必要な支援へ進んでもらうとのことでした。母性をはぐくむお手伝いをしつつ、養育里親や特別養子縁組といった選択も子供のためには素晴らしいことであると理解をしてもらうこともあるそうです。

また厚生労働省の「新しい社会的養育ビジョン」に基づいた対応により、虐待なども含めた施設での支援が必要だと思われる場合でも在宅となるケースが増えているとのお話も気になりました。

母親へのサポート体制が脆弱なことが浮き彫りになり、現状は現場の専門家の皆様の強い思いと努力に支えられていることがよくわかりました。

KYOTO SCOPEは京都府下のソーシャルワークを支援するプラットフォームです。今後も定期的な勉強会の開催を予定しております。勉強会の内容を受け、モデルケースもブラッシュアップしてまいります。

また来年1月21日に京都にて初めてオフラインでのワークショップを開催いたします。詳細はメールマガジン(ページ下部からご登録いただけます)とこちらのWEBサイトでお知らせいたします。京都や各地の支援者の皆様のご参加を心よりお待ちしています。

文責:中江奈津子

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