お知らせ

KYOTO SCOPEからのお知らせです。

2023.11.05第15回オンライン・ケース勉強会を開催しました

2023年9月24日(日)にKYOTO SCOPE主催のオンライン・ケース勉強会を開催しました。

今回のテーマは「性風俗」「中絶歴」です。モデルケース「性風俗店での望まない妊娠で中絶希望のシングルマザー」をもとに、母子生活支援施設のスタッフ、性風俗店で働く女性への啓蒙活動やメンタルケアなどを行っている支援者、産婦人科医師の3人にお話をお聞きしました。

まず性風俗店の形態やサービスの内容について詳しく教えていただきました。働く女性に対する講習や、客の違法行為を拒否する方法についての指導をしっかりと行わない店が増加、今回のケースのような事態が起こる大きな原因になっています。また従事者が増えている背景には、社会的に困難な状況にある女性のセーフティネットが性風俗以外に見当たらない、シングルマザーへの支援が足りないことなどがあります。働き続けるのであれば、店を変わる、SNSで問題を発信するなどして、より安全な場所に身を置くことが望ましいとのことでした。

中絶を希望して来院した女性から、医療者が事情や本音を聞かせてもらうことは難しく、配偶者の同意が必要なことや高額な費用について説明を受けると困惑する方も多いそうです。犯罪の被害にあったと自覚していない人や自分自身を大切にする思いが希薄な人も少なからず見受けられ、公的機関や警察につながることを拒む人もいます。日本産婦人科医会の提言はあるものの、トラブル回避や解釈の違いから大多数の医療機関が同意書を求めている現状についても説明をしていただきました。

母子生活支援施設の専門家からは、まずこの女性と出会うきっかけについていくつかの候補が挙げられました。支援を得られる場所にたどりついてもらうために、できるだけ多くのルートが必要だと思います。また5歳の子どもの養育環境と仕事との関係性や性教育についても信頼関係を作りながら話していきたい、二人が今よりいい生活になるよう長く見守りたいケースであると述べられました。医師の「患者さんの背景に触れ、悩みを解決するために支援者や行政につなげたい」との思いが、確実にこのような施設に届くような仕組みが必要だと切実に感じます。

助産師の参加者は、学ぶ過程で中絶に対するカリキュラムがないこと、職場でマニュアルもないこと、様々な背景の患者さんに対応することの難しさや苦悩を語られました。医療者や支援者の心のケアについても考えていきたいと思います。登壇者のお一人から、どんな場合でも傷つくのは女性と考えてずっと寄り添っていくことが大事との言葉がありました。新しい学びとともに、これからの課題も発見できた勉強会となりました。

KYOTO SCOPEは京都府下のソーシャルワークを支援するプラットフォームです。今後も定期的な勉強会の開催を予定しています。勉強会の内容を受け、モデルケースもブラッシュアップしてまいります。

またメールマガジンにて、勉強会のご案内やイベントなどのお知らせをしています。ページ下部よりぜひご登録ください。

 

文責:中江奈津子

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